古典曲検索

歌恋慕
[ウタレンボ]

ジャンル 地唄・箏曲
箏組歌
各組付物
作曲者 河原崎検校?菊平勾当?
調弦 平調子
一 絶えて逢はずとな、文をば通ひ、文は妹背の橋となる。
  妹背のな、妹背の文は、文は妹背の中となる。

二 人の辛さにな。こりもせず。憂き玉の緒のいつまでか。
  絶えぬ思ひに呉竹の。幾夜、伏見の袖濡れて。
  乾く間も無き涙の渕よ。夢になりとも逢瀬は嬉し。

三 寝良げに聞くは小夜の尺八。一節切にも情あれかし。

四 梅は匂ひよ、桜は花よ。それそれ人の情は、いつも花の香。
訳詞 1.打ち絶えて、逢わないということですか、手紙を出しなさい。手紙は恋の架け橋となる。恋の手紙は、手紙は恋の仲立ちとなる。

2.人の世の辛さにこりもしないで、憂い生命はいつまで生られるのか、絶えない思いに暮れて、幾夜も伏見で伏して袖を濡らし、乾く暇のない涙の淵であるよ。夢にでも逢う瀬は嬉しい。

3.寝耳に聞いてよい夜の尺八や、一節切の一夜だけでもよいから情けが欲しい。

4.梅は匂いが良いし、桜は花が良い。それぞれ人の情けはいつも梅や桜の花と香りのように良いものだ。
補足 流儀によって各種ある。現行のものは、生田流の「歌恋慕」として記されるものと詞章は一致する。元禄以前の歌謡を組み合わせたもので、各歌の長さは不定。
「千重之一重」に収録させる箏譜には河原崎検校作曲とあり、ほぼ現行の手に一致するので、現行の作曲者は河原崎検校とみられる。
三歌のあとに手事風の間奏が入り、巣籠地を合わせることができる。
藤谷勾当作曲の『常世の曲』との打合も行なわれる。
一覧に戻る