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甲の曲
[カンノキョク]

ジャンル	地唄・箏曲 箏組歌 秘曲・別組
作曲者	継山検校？
調弦	本雲井調子
唄	一　いざさらばほととぎす　涙（なみだ）くらべんもろともに 　　我（われ）は昔（むかし）の偲（しの）ばれて　夜（よ）もすがら夢（ゆめ）も結（むす）ばぬ 二　命（いのち）あらん限（かぎ）りは　馴（な）れし君（きみ）の面影（おもかげ）を 　　何（なに）をしてかは忘（わす）れんと　思（おも）へばいとどゆかしき 三　思（おも）ひを人（ひと）に知（し）らせじと　心（こころ）に深（ふか）く包（つつ）めども 　　恋（こい）しさいや増（ま）して　我（われ）とこぼるる涙（なみだ）かな 四　袖（そで）に触（ふ）れし移（うつ）り香（が）も　落（お）つる涙（なみだ）にそそがれて 　　形見（かたみ）に残（のこ）る色（いろ）だにも　失（う）せて思（おも）ひの増（ま）す 五　はかなきは世（よ）の中（なか）の　憂（う）き身（み）に積（つ）む柴舟（しばぶね）の 　　たかぬ先（さき）より焦（こが）れ行（ゆ）く　この身（み）は何（なに）となるべき
訳詞	１．ほととぎすよ、さあそれならば一緒に鳴き比べをしよう。私は昔を思い出して一晩中涙にくれ、あの人の夢も見れないのだから ２．私の命の続く限りは、馴れ睦び合ったあなたの面影を、どのようにしても忘れることが出来ようか。そう思うと、一層悲しい ３．恋をしているのを人に知られないでおこうと深く隠していても、ますます恋心が募って、ひとりでに涙が零れ落ちる ４．お互いに敷き交わした衣の袖の移り香も、別れの涙に濡れて消え、後朝の形見に残した衣の色までも退色してなくなってしまったが、反対に慕情は一層増していく ５．あわれなのは、男女の仲のことで辛い思いに耽るこの身で、まるで柴を積んだ舟の柴が、焚かれる前に舟に積まれて漕がれて行くように、思いを遂げないままこの身が焦がれて行くのを何としたものか

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